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健康コラム

Vol.6 骨密度

骨密度
~骨の健康、守って元気~

特に女性に多い骨粗しょう症。今後の予防のためにも骨粗しょう症について知っておきましょう。

【骨粗しょう症とは】

骨密度(単位体積当たりの骨量)が減少して、骨の構造が劣化し、骨折しやすくなる進行性の骨の病気を「骨粗しょう症」といいます。骨粗しょう症により骨がもろくなると、つまずいて手や肘をついたり、くしゃみをしたりするなどのわずかな衝撃で、骨折してしまうことがあります。特に骨折しやすい部位は、背骨、足の付け根、手首、腕の付け根です。骨粗しょう症による骨折は、骨の質が低下しているため治るまでに時間がかかり、次第に筋肉が衰えてしまい、寝たきりになってしまうケースが極めて多いそうです。脳血管疾患や心疾患のように命に関わる病気ではありませんが、骨粗しょう症による骨折から、介護が必要になってしまう人も少なくないため、しっかりと予防したい疾患です。

【骨粗しょう症の骨代謝】

骨は常に新しく作りかえられているのをご存じでしょうか? 骨には、新しい骨を作る「骨芽(こつが)細胞」と古い骨を壊す「破骨(はこつ)細胞」という2種類の細胞があり、この2つの細胞の働きにより、骨は少しずつ作りかえられています。その理由は2つあります。

  1. 古くなった骨を新しくするため骨は古くなると、弾力性を失いもろくなってしまいます。常に新しく作りかえることにより、体を支えることのできるしなやかな強さを維持しています
  2. 生きていくために必要なカルシウムを体の各組織に送り出すためカルシウムは血液中に常に1%ほど含まれており、筋肉の伸び縮み、神経の活動、精神の安定、心臓を動かす等、私たちが生命を維持するのに重要な役割を担っています。この血液中になくてはならないカルシウムが不足すると、カルシウムの貯蔵庫である骨からカルシウムが溶かし出され、逆に余ると骨の中に蓄えられます。つまり、骨はカルシウムを常に出し入れしているため、結果的に骨が作りかえられることになるのです。
    慢性的なカルシウム不足が続いた場合、古い骨を壊す「破骨細胞」の働きが、新しい骨を作る「骨芽細胞」の働きを上回ってしまいます。これが骨粗しょう症の原因の一つにもなります(図表1)。

図表1

【骨密度の変化】

骨も他の臓器同様に加齢とともに形状や機能が変化していきます。
出生時には骨は体重の1/100の約30gほどですが、その後学童期から思春期にかけて成長し、20歳前後になる頃には多くの骨の成長が終わり、骨量もこの時期に最大となります。その後骨量は比較的安定して推移しますが、女性は50歳前後で閉経に伴う女性ホルモン(エストロゲン)の急激な減少により、閉経後10年ほどの間に骨量は著しく減少していくのです(図表2)。
そのため、骨粗しょう症の男女比は1:3で、女性が男性の約3倍となっています。

図表2

【骨密度低下を防ぐために】

骨粗しょう症予防には、カルシウムを取らなければと思う方が多いのではないでしょうか? しかし、カルシウムは吸収されにくい栄養素です。小腸からのカルシウム吸収量には上限があり、どんなに多くカルシウムだけを摂取してもカルシウムの吸収量は増加しません。骨の健康に関わる栄養素は他にもあり、カルシウムのみが重要というわけではありません。まずは、バランスの良い食事を基本に、有効な栄養素を多く含む食材を加えるように工夫しましょう。
骨粗しょう症予防のために摂取したい栄養素を紹介します。

●カルシウム
骨の約7割を構成する栄養素です。1日に食品から取りたいカルシウムの量は600~800mgです。骨は日々破骨と形成を繰り返しているため、毎日欠かさずカルシウムを取り入れることをお勧めします(図表3)。

図表3
  • 牛乳、乳製品:手軽に食べられて吸収率が高い(牛乳1杯200ml=カルシウム231mg)
  • 魚介類:骨ごと食べられる小魚などに多く含まれる(干しえび大さじ1杯3g=カルシウム213mg)
  • 大豆製品:大豆よりも消化が良く、栄養価が高い(木綿豆腐1皿100g=カルシウム86mg)
  • 緑黄色野菜:特に青菜全般に多く含まれる(小松菜1皿80g=カルシウム136mg)

●ビタミンD
小腸からのカルシウムの吸収を高める働きがあります。また、骨と一緒に筋肉も強化します。1日に食品から取りたいビタミンDの量は8.5㎍です(図表4)。ちなみに、日光に当たることで体内でも作られます。80%が皮膚由来、20%が食事由来ですので、日光に当たることも大切ということですね。1日に15分程度、適度に日光に当たることも意識してみましょう。

図表4
  • 魚介類:さんま1尾150g=ビタミンD 22.4㎍、鮭1切れ100g=ビタミンD 32.0㎍
  • きのこ類:きくらげ(乾)1g=ビタミンD 0.9㎍
  • 卵類:鶏卵1個60g=ビタミンD 1.1㎍

●ビタミンK
吸収されたカルシウムを骨に取り込むのを助け、骨を硬くする働きがあります。 1日に食品から取りたいビタミンKの量は150㎍です。体内では腸内細菌からも作られています(図表5)。

図表5
  • 大豆製品:納豆1パック40g=ビタミンK 240㎍
  • 緑黄色野菜:ほうれん草1皿80g=ビタミンK 216㎍、小松菜1皿80g=ビタミンK168㎍
  • 海藻類:カットわかめ1g=ビタミンK 16㎍、干しのり1/2枚2g=ビタミンK 52㎍

ビタミンKが豊富な食品の代表、納豆は1パックで240μgのビタミンKを摂取できます。 骨折率は納豆をあまり食べない西日本より、納豆をよく食べる東日本の方が低いと言われています。

※カルシウムの吸収を妨げる食品と習慣に注意!

  • リン:リンは加工食品やインスタント食品などに多く含まれ、過剰摂取によりカルシウムの吸収を阻害します。
  • 塩分:塩分の取り過ぎは、尿にカルシウムが排出される量を増やす原因となります。
  • アルコール、喫煙:アルコールや喫煙は腸へのカルシウムの吸収を抑制し、尿に排出する割合を増加する作用があります。
  • カフェイン:カフェインを取り過ぎるとカルシウムの吸収を阻害します。


適度な運動を行い、骨に刺激を与えることで骨も強くなります。ウォーキングなどの運動を心掛けましょう。

<今回のポイント>

  • 骨粗しょう症予防の食事の基本は、バランスの良い食事です。
  • カルシウム摂取だけではなく、ビタミンD、ビタミンKの摂取も意識しましょう。
  • 適度な運動で骨粗しょう症の予防とともに、転倒のリスクにも注意しましょう。

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