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健康コラム

Vol.8 血液検査と生活習慣病

~健康診断、受けて気になる検査値を解説!~

毎年受ける健康診断。受けたものの、見方が分からない、結局何が良くないのだろう?
という方へ、今回は健康診断や病院で受ける血液検査の結果の見方について解説します。
血液検査結果は、医療従事者が疾病の有無や現在の体の状態、栄養状態を判断するのに非常に重要な情報源となります。血液検査から分かることは、びっくりするほど多いのです!

【血液検査の検査項目を知ろう!】

まずは、よく検査される項目、特に注意してほしい検査値について解説します。ぜひお手元に血液検査結果を準備して読んでくださいね。

チェックポイント1<糖代謝>
血糖、HbA1cの値をチェックしてみましょう。糖尿病のリスクなどが分かります。
血糖血液中のブドウ糖がエネルギー源として適切に利用されているかが分かります。空腹時に測定したか否かで検査結果は変わりますが、数値が高い場合は糖尿病やホルモン異常などが疑われます。
HbA1c血液中のブドウ糖がエネルギー源として適切に利用されているかが分かります。空腹時に測定したか否かで検査結果は変わりますが、数値が高い場合は糖尿病やホルモン異常などが疑われます。

チェックポイント2<血中脂質>
脂質代謝異常のリスクがわかります。LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪(TG)の三つの値をチェックしてみましょう。
LDLコレステロール悪玉コレステロールとも呼ばれます。LDLコレステロールが多過ぎると血管壁にコレステロールが蓄積して動脈硬化を進行させ、心疾患や脳血管疾患を起こす危険性を高めます。
HDLコレステロール善玉コレステロールとも呼ばれます。血液中の悪玉コレステロールを回収してくれる働きがあります。数値が低いと、脂質代謝異常や動脈硬化が疑われます。
中性脂肪(TG)糖質がエネルギーとして脂肪に変化したものです。数値が高いと動脈硬化を進行させます。変動が大きい検査値でもあるため、生活習慣次第で改善しやすい項目です。

チェックポイント3<尿酸>
尿酸やプリン体というワードは、テレビCMや広告媒体などでもよく見聞きしますね。
尿酸(UA)尿酸とは、たんぱく質の一種であるプリン体という物質が分解された後の燃えかすのようなものです。高い数値が続くと、関節などに蓄積し、突然、関節痛を起こします(痛風)。また尿路結石もつくられやすくなります。

チェックポイント4<腎機能>
腎機能の低下の有無が分かります。腎臓は体液量の調節や造血、骨の発育にも関わる大変重要な役割を持つ臓器です。機能が低下すると体のさまざまなところに障害が出てきます。
尿素窒素(BUN)たんぱく質が代謝された後にできる残りかすのようなものです。通常、腎臓でろ過されて尿中に排出されるため、値が高くなるほど腎臓の機能が落ちていると考えられます。
クレアチニン筋肉を動かすためのエネルギー源であるクレアチン※ が代謝された後にできる老廃物です。腎臓でろ過されて尿中に排出されるため、数値が高いと腎臓の機能が低下していることを意味します。
※クレアチン・・・3種のアミノ酸(アルギニン、グリシン、メチオニン)からつくられ、多くが骨格筋内に存在する。

チェックポイント5<肝機能>
肝臓系の状態を知るには以下の項目を総合的に見て、肝機能のどこに問題があるかを判断します。
ALP肝臓内の胆管でつくられる酵素です。胆汁中に排出されるため、胆道のどこかに異常があると、胆汁中にうまく流れなくなり、血液中の数値が高くなります。骨や腸にも存在しています。
AST(GOT)
ALT(GPT)
ASTは、心臓、筋肉、肝臓に多く存在する酵素で、ALTは肝臓に多く存在する酵素です。高値の場合、肝臓の疾病が疑われます。ASTだけが高い場合は心筋梗塞、筋肉疾患などが考えられます。
γ –GTP肝臓内の胆管でつくられる酵素で、肝臓や胆道に異常があると数値が上昇します。アルコール性肝障害などで高値になっているケースが多く見られます。

こまごまと難しく検査値の説明をしてきましたが、皆さんに一番やっていただきたいことは、検査表に記載のある基準値と比較し、少しでも異常が見られた場合は放置せずに専門家に相談することです。体の調子が良くても、血液検査の結果が示しているのは体からの何らかのサインです。

【生活習慣改善でどれくらい検査値が変わる?】

ところで、生活習慣を変えたとして、どの程度検査値が変わるのだろう?と思いませんか。すぐに数値に出る項目もあれば、なかなか変わらないものもあります。個人差がありますので、ここでは実例も含めていくつかご紹介します。

・血糖、HbA1cの変化

血糖値は1日の中でも常に変動しています。食事をすれば血糖値は上がりますし、食べなければ下がります。それに対してHbA1cは過去1~2カ月分の血糖値を示す値ですので、明日、健康診断があるからといって食事や運動を頑張ったところで数値に影響はありません。HbA1cは継続的な生活習慣の改善でしか数値改善につながらないのです。

・中性脂肪の変化

中性脂肪(TG)の数値が高い方は、炭水化物や脂質、糖質を多く含む食事、アルコールを習慣的に摂取している場合が多くあります。極端な例ですが、血液検査の前日に、焼き肉やラーメン、ピザなどの脂っこい食事を取った場合、中性脂肪の値が高く出る可能性があるくらい変動しやすい検査項目でもあります。実際に、食習慣や運動習慣を変え、800mg/dLの異常値から正常値付近(50~149mg/dL)まで改善した方もいらっしゃいました。努力が目に見える検査項目ですね!

・尿酸(UA)の変化

尿酸値が高くなる原因には肥満・プリン体の過剰摂取・体質の三つの原因が考えられます。特に男性に尿酸値が高い方が多くいらっしゃいます。肥満の方はまずは体重コントロールが重要です。また、プリン体過剰摂取のお話をすると、「お酒はプリン体の多いビールは避けて、焼酎を飲んでいるから問題ない!」という方もいるのですが、実は、アルコールそのものが代謝される過程で尿酸が生成されるため、そもそもアルコール摂取量を抑えなければ意味がないのです。尿酸値も食事や飲酒によって変動しやすい値です。
前日にお酒をたくさん飲んで検査したら高くなった!ということもよくあります。知らないうちに尿酸値が上がり、いきなり痛風発作が起こってしまったという事例もありますので、お酒はほどほどにしましょう。

【節度ある適度な飲酒量=1日平均純アルコール約20g程度】

図表1
参考:厚生労働省「健康日本21(アルコール)」

・γ -GTPの変化

γ-GTPの数値は、ASTやALTとあわせて見ます。AST、ALTも一緒に上昇しているケースでは、肝炎や肝硬変、肝臓がんといった疾患が疑われます。γ-GTPが高値になるケースではアルコールの影響であることがほとんどです。アルコールで数値が上がっている方は、大体2週間程度禁酒すると数値が下がってくる方が多いです。そのときだけの禁酒ではなく、日頃からアルコールの過剰摂取には気を付けましょう!

【こんな生活をしていませんか? 健康チェック!】

健康診断を受ける前に、ここで一度、普段の生活を見直してみましょう。
  • □ 揚げ物・天ぷらが好き
  • □ 味の濃いものやインスタント商品が好き
  • □ 野菜料理はどちらかというと苦手だ
  • □ 朝食はあまり食べない
  • □ 食事は外食や市販の弁当が多い
  • □ 休日は家でゴロゴロすることが多い
  • □ 毎日忙しい(残業も多い)
  • □ 仕事はデスクワーク中心だ
  • □ バスや電車はできるだけ座る
  • □ 特に定期的な運動は行っていない
  • □ 睡眠不足が続いている
  • □ ほぼ毎日お酒を飲む
  • □ たばこと1日10本以上吸う
  • □ 自分は運動不足だと思う
  • □ 歩くよりは車や自転車を利用する
  • □ エスカレーター、エレベーターは必ず利用する


図表2

皆さんいくつチェックがつきましたか?
チェックが多いほど、あまり良くない生活習慣といえます。
健康診断を受ける前に慌てて食事制限や運動をするのではなく、普段の生活から見直して、健康的な生活を習慣にしましょう!

<今回のポイント>

  • ・健康診断の結果はしっかりチェックし、自分の体を知りましょう
  • ・検査値に異常があった場合は、必ず専門家へ相談しましょう
  • ・毎日の生活を大切に! 健康な心と体を目指しましょう

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