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健康コラム

Vol.2 糖質制限ダイエット

~糖質さえ取らなければOK? 糖質制限の落とし穴~

最近よく耳にする「糖質制限ダイエット」について、今回はそのメカニズムと実践する際の注意点についてお話しします。

【糖質制限とは?】

糖質というとどんなものをイメージしますか? ご飯や麺類、芋、甘いお菓子でしょうか? 糖質とは、3大栄養素の一つでもある、「炭水化物」から「食物繊維」を除いたものです。この糖質は前述の食品以外にも野菜や果物、乳製品等、さまざまな食品に含まれています。この糖質を制限すると、なぜダイエットにつながるのでしょうか?大きく分けて二つの理由が考えられます。
図表1"
理由①

糖質は、私たちが活動するためのエネルギー源となります。この糖質を制限すると、体の中で糖が足りない状態になります。すると、エネルギー源を確保するために、筋肉のたんぱく質から分解されたアミノ酸や体内に蓄積されていた中性脂肪が分解されてエネルギーとして肝臓で利用されます(糖新生)。結果的に体脂肪の減少につながるというわけです。
図表2
理由②

食事により口内へ入った糖質は、消化、分解されてブドウ糖となり小腸で吸収されます。血液中にブドウ糖が増えると、膵臓からインスリンというホルモンが分泌されます。このインスリンが血液中のブドウ糖を肝臓や筋肉、脳など、さまざまな細胞へ取り込みます。中でも糖質は、体の中でブドウ糖に変換されやすい栄養素です。必要以上に取り過ぎてしまうと、肝臓や筋肉、脳などに取り込まれずに血液中に余ったブドウ糖がインスリンの働きによって一部脂肪細胞へ運ばれます。そこで糖質を制限することにより、脂肪細胞へ取り込まれるブドウ糖量を減らし、体脂肪になるのを防ごうというものです。

【糖質制限のメリット・デメリット】

実は、糖質制限は長期にわたる臨床データが少なく、有効性や安全性が乏しいのが現状です。そのため、どんな種類の糖質をどれくらい減らせばいいのかという基準もありません。糖質制限の効果や安全性についてはさまざまな意見があるため、良い、悪い、とはっきり言いづらいのが本音で、これから研究が進んでいく分野です。ここでは、考えられるメリットとデメリットについてご紹介します。

<メリット>
糖質制限ダイエットは、糖質の多い食品の摂取量を減らすだけ!のダイエットですので、糖質の少ない食品の摂取制限はなく、手軽に挑戦しやすいため、チャレンジする人も多くいます。また、糖質を多く含む食品はエネルギーが高いものも多いため、抜けば抜いた分だけ、摂取エネルギー量が減り、体重に変化が表れやすいという特長もあります。
<デメリット>
筋肉量が減る、集中力が落ちる、便秘になりやすくなる等というリスクが考えられます。さらに、脳にとって必要な栄養素である糖質を極端にカットすることにより、無気力や倦怠感、眠気等の症状が一時的に現れる場合があります。また、糖質の量を減らすことにより、たんぱく質・脂質含有量が多い食品の摂取量が増えやすくなる傾向があり、コレステロール値が上昇する可能性も考えられます。

【これから糖質制限を始める方へ、気をつけたいポイント】

一番は、極端な糖質制限をしないということです。頑張って糖質を制限し、みるみる成果が出ても、長い期間無理をしてしまうと、体に悪影響を及ぼすリスクや、リバウンドする可能性もあります。糖質制限とは、あくまで糖質を控えることであり、完全に取らないということではない、と考えておいてください。
糖質制限はあまりストイックになり過ぎないことがポイントです。さまざまな情報があり、迷うことも多くあるダイエット法かもしれません。分からない場合は、医師や管理栄養士などの専門家に相談しながら行いましょう。
最後に糖質制限のポイントを整理します。

<今回のポイント>

血糖値を上げにくい食事とは、
  • 糖質を「完全に抜く」のではなく、適量摂取を心掛けましょう。
  • 良質なたんぱく質である、肉、魚、卵、乳・乳製品、大豆製品は適量をしっかり食べましょう。
  • 食物繊維が豊富な、野菜、海藻類、きのこ類をしっかり食べるように心掛けましょう。
  • 1日3回食べて、欠食はしないようにしましょう。

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