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健康コラム

Vol.10 健康食品の賢い取り方

~健康食品を上手に活用するポイント~

テレビや新聞・雑誌、インターネット等で目にすることが多くなった健康食品。世の中にはさまざまな健康食品が流通しており、その情報もさまざまです。健康食品やサプリメントと呼ばれるものは、法律上の定義はなく、広く健康の保持増進に資する食品として販売・利用されるもの全般を指しています。

【健康食品の分類】

健康食品は、国が制度を創設して機能表示等を許可している「特定の機能の表示などができるもの(保健機能食品)」と「そうでないもの」の2つに分けられます。さらに保健機能食品は「特定保健用食品(通称トクホ)」、「栄養機能食品」および「機能性表示食品」の3つに分けられます(図表1)。
機能表示が認められていないものに、違法製品や無承認無許可医薬品が潜んでいる可能性もあるため、注意が必要です。

図表1

・特定保健用食品(通称トクホ)

消費者庁ウェブサイト

生理学的機能などに影響を与える保健機能成分を含む食品で、消費者庁長官の許可を得て特定の保健の用途やトクホのマークを表示することができます。
現在までに「血糖・血圧・血中のコレステロールなどを正常に保つことを助ける」「おなかの調子を整える」「骨の健康に役立つ」などの保健機能の表示が許可されています。

・栄養機能食品

特定の栄養成分の補給のために利用される食品で、栄養成分の機能を表示するものをいいます。1日当たりの摂取目安量に含まれる栄養成分量が、定められた上・下限値の範囲内にあるほか、栄養成分の機能だけでなく、注意喚起等も表示する必要があります。

・機能性表示食品

事業者の責任において、科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品で、販売前に安全性および機能性の根拠に関する情報などが消費者庁長官へ届けられたものをいいます。

【健康食品・サプリメントを利用するまでのステップ】

健康食品やサプリメントを利用する前に、次のことを確認してみましょう。

1)普段の食生活を振り返ってみましたか?

食生活や生活習慣を振り返り、バランスの良い食事をしているかを確認しましょう。
基本的には、バランス良く通常の食事を取っていれば、栄養素がそれほど不足することはありません。1日に必要な栄養素の量は決まっていますが、これは「習慣的な摂取量(約1カ月分の平均値)」を指しているものですので、多く取ったり、少なく取ったりする日があっても構いません。分からない場合は、ぜひ管理栄養士などの専門家に相談してみてくださいね。

2)食生活に問題がありそうな場合、通常の食品からうまく補う工夫ができませんか?

振り返ってみて、習慣的にバランスの良い食事が取れていない、栄養素の過不足がありそうな場合は、普段の食事の中で工夫できないか検討しましょう。例えば、朝食時のおかずを1品変えるだけでも、足りない栄養素を補うことができるかもしれません(図表2)。

図表2

3)健康食品・サプリメントを取り入れることになった場合、成分名と含有量は確認しましたか?

図表3

まずは成分名を確認します。原材料表示に「○○抽出物」「××エキス」「△△菌」「◎◎粉末」「○×酵素」 などと書かれていませんか。このような表示は、実は「それぞれの原材料に含まれる具体的な物質名が不明である」場合があります。どれくらいの量の原材料から、どのような抽出方法で、何を抽出したのかが分かりません。何が入っているのか分からなければ、その製品が有効とも安全ともいえないのです。
次に、含有量を確認しましょう。健康食品の有効性や安全性を判断するためには、「量」の情報が必要です。「どれくらいの量」というのが分からなければ、安全なのか、体に良い影響があるのか、分かりません。また、量が表示されていないことは、作っている側の品質管理ができていない可能性もありますので注意しましょう。
その他にも、問い合わせ先の確認や、健康食品・サプリメントの摂取状況のメモを取ることも大切です。健康食品・サプリメントを利用しないように!ということではなく、食品だからと楽観しないことが重要です。情報をしっかり見極め、自分で管理・コントロールできるようにしておきましょう(図表3)。

【健康食品に頼るのではなく、うまく利用すること】

保健機能食品で有効性の科学的根拠があったとしても、その効果は限定的で、それだけを摂取して健康になるということはまずあり得ません。
広告などには、「これさえ食べれば大丈夫!」「取り入れるだけでダイエット」などといった宣伝をしているものもありますが、必ずしもそうではないことを冷静に受け止めることも大切です。基本的には生活習慣病の原因は、現在の生活習慣にあることがほとんどです。生活習慣を改善しなければ、どれだけ薬効の優れた薬であっても、病状の改善は難しいということを覚えておきましょう。
健康食品の上手な使い方は、それを使うことによって、食生活・生活習慣が改善の方向へ動き出すような使い方です。例えば、トクホで許可されている「体に脂肪がつきにくい油」ですが、これは「いくら食べても脂肪がつかない油」という意味ではありません。「食事管理」「運動」などを行い、通常の油摂取グループとトクホ油摂取グループを比べたら、トクホ油を使った方が体に脂肪がつきにくかったということです。「揚げ物を好きなだけ食べたいので、揚げ油をトクホに」という使い方ではなく、「せっかくトクホを使うから、油の摂取を控えよう」「トクホの使用と一緒に運動も始めてみよう」など、健康食品をはじめの一歩につなげる使い方をしましょう。

<今回のポイント>

  • ・普段の食生活を振り返った上で健康食品・サプリメントの利用を検討しましょう
  • ・健康食品・サプリメントの購入前に成分名、含有量、問い合わせ先の確認をしましょう
  • ・健康食品は、食生活・生活習慣改善の「はじめの一歩」として利用しましょう

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