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健康コラム

Vol.12 災害時の食料

~「もしも」が明日なら備えておきたい防災~

皆さんのご自宅では、災害への備えはできていますか?
災害時を生き抜くためには普段からの備えがとても重要です。阪神・淡路大震災や東日本大震災、熊本地震など大きな災害時に、避難所では食料が不足します。避難所に十分な食料や備蓄品があると思ってはいけません。いつ何が起こるか分からないからこそ、自分たちの生活に必要な備えは自分たちで行うという意識を常に持っておきましょう。今回は災害時の食料の備えについてご紹介します。

【食事に困らないために、これだけは備えましょう】

災害発生から3日間は人命救助が最優先になります。道路の復旧や避難所への物資輸送はその後になるため、最低でもこの3日間の食料は自分たちで準備しておかなくてはなりません。

■どのくらいの備蓄が必要?

最低でも1人3日分の飲料、食料を備えておきましょう。大規模災害発生時には「1週間分」の備蓄が望ましいとされています。

飲料水(1人分) ・・・・・ 3リットル/日×3日分
非常食(1人分) ・・・・・ 3食/日×3日分

例えば3人家族の場合、3リットル&3食×3日×3人分の飲料、食料の備蓄を行う必要があります。

■備蓄食料品の選び方
  1. 常温で長期間保存できるもの
    災害時には冷蔵庫などが使用できなくなるため、備蓄には、常温で保存が可能なものを選びましょう。賞味期限は少なくとも半年以上、できれば1年以上あるものの方が普段の備蓄の管理もしやすくなります。
  2. 携帯しやすい使い切りサイズのもの
    大きいサイズのものや食べ切れないサイズのものは残食が出てしまい、ごみの処理にも困ります。インスタント麺は汁のない焼きそばなどを選びましょう。
  3. 調理が必要ないもの
    調理がいらず、すぐ食べられるものを備蓄することも重要です。特に災害直後は電気や上水道、ガスなどのライフラインが整っていないため、調理が不要ですぐに食べられるものが重宝されます。
  4. 普段から食べ慣れているものや好きなもの
    災害時は不安やストレスが大きいため、食欲もなくなる可能性があります。そのようなときに食べたいと思う「おいしいもの」「好きなもの」を備蓄しておくことも重要です。
  5. 野菜や果物の加工品
    食品の種類はなるべく偏らないようにします。特にビタミン、ミネラルなどの微量栄養素や食物繊維は不足しがちです。これらが不足すると体調不良の原因にもなります。
    野菜ジュースなどの飲み物の用意でもOKです。
    電気、上水道、ガスといったライフラインは、大規模災害発生直後は利用が困難になります。内閣府の首都直下地震・東京の被害想定によると、各ライフラインの復旧目標日数は、電気で6日、上水道で30日、ガスで55日となっています。温かいごはんを食べるためにも、調理器具などの備えがあると助かりそうですね。
  • 電気:電気はライフラインの中でも比較的早く復旧することから、ガスコンロの代替品となるIHクッキングヒーターやIH対応調理器具、電気ポットがあると便利です。
  • 水 :上水道復旧までの間、給水車から配給されることがあります。備蓄の水以外に、給水タンクや給水袋があると良いでしょう。
  • ガス:ガスの復旧は遅くなりがちです。カセットコンロ、カセットガスがあると便利ですので、多めに備蓄しておきましょう。

【進化した非常食】

幼い頃は非常食といえば「乾パン」でした。しかし、ここ数十年で食品の加工技術は飛躍的に発展し、アルファ米や缶詰パン、お菓子など、さまざまなニーズに合った非常食の種類が増えてきています。また、3~5年の保存が一般的だったのに対し、最近では25年の超長期保存が可能な非常食も誕生しています。さらに、長期保存ができる上に、栄養バランスやおいしさまで追求した非常食も登場し、日頃の食事にも多く取り入れられています。

【非常食のストック方法】

いざというときに備えて食料の備蓄を既に行っている方も、これから準備しようと思っている方も、実際に食料を備蓄した状態をキープしておくことは、賞味期限や定期的な状態のチェックを行わなければならず、なかなか難しいと感じていませんか。また、食べ方を知らないと、いざというときに食べることができない食品も中にはあるかもしれません。
非常食は備蓄しつつ、普段から消費していくことをお勧めします。そうすることで、食料を一定量に保ちながら鮮度も保つことができるため、保存期間が3~5年の食品でなくとも非常食としてストックすることが可能になります。また、日常生活で非常食を取り入れることができれば、いざというときにも日常生活に近い食事を取ることができますね。この「消費しながら備蓄する」方法をローリングストック法と言います。

■ローリングストック法の2つのルール
  1. 古いものから消費する
    備蓄する食料が古くなってしまわないよう、必ず一番古いものから消費してください。
    食べる前に必ず賞味期限の確認をしましょう。
  2. 消費した分は必ず補充する
    ローリングストック法では、備蓄品としてストックしているものはいつ食べても構いません。ただし、消費した分の補充はすぐ行うようにしましょう。
■ローリングストック法の実践例

ここでローリングストック法の実践例をご紹介します。

  1. 備蓄する食品数を計算し準備する
    例えば、非常食を常に3日分用意しておくとします。そうすると、1人当たり3食×3日分で9食分用意する必要があります。ですが、定期的に消費することを考えて、1日分追加した12食分の食品をストックしておきます(図表1)。
    図表1 自立と加齢のグラフ
  2. 非常食を食べる日を決める
    「毎月第1水曜日に非常食を食べる」などのように、毎月1回非常食を食べる日を決めます。その日は備蓄している12食分のうち、古いものから1食分を食べるようにします。
  3. 食べた分の非常食を補充する
    非常食を食べた週の週末までに、必ず1食分の非常食を買い足すなどのルールを作り、忘れずに補充を行います(図表2)。
図表2

このように月に1回の「非常食ごはんの日」を習慣にすると、今回の例の場合、ちょうど1年で用意した非常食12食分が全て入れ替わります。つまり、「非常食は1年間の賞味期限があれば大丈夫なもの」ということになりますので、非常食として選べる食品の幅もグンと広がりますね。賞味期限の長い食べ慣れない非常食よりも、少しでも食べ慣れたレトルト食品などを非常食とした方が、いざというときの安心にもつながるかもしれません。

<今回のポイント>

  1. 飲料、食料は最低でも1人3日分を備蓄しましょう
  2. 温かいごはんを食べるために、カセットコンロや電気ポットなどがあると便利です
  3. 備蓄はローリングストック法がお勧めです

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